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歯周病の検査について

歯周病検査とは
歯周病検査とは、歯周病(歯肉炎・歯周炎)の有無や進行度を調べるために行う歯科の診査のことです。歯周病は自覚症状が出にくく、気づいたときにはすでに進行しているケースが多いため、定期的な検査が非常に重要です。
特に歯周病は日本人の成人の約8割が罹患経験を持つと言われるほど身近な病気で、歯を失う最大の原因とされています。
歯周病検査の目的
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歯周組織の健康状態の把握
歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)の状態を確認します。 -
進行度の評価
炎症がどの程度進んでいるか、骨吸収の有無を判断します。 -
治療計画の立案
必要な治療(スケーリング、ルートプレーニング、外科治療など)を決めるための基礎データとなります。 -
経過観察
治療後の改善状況や再発防止のための定期的チェックに使われます。
主な歯周病検査の種類
1. 問診・視診
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問診では、出血や腫れ、口臭、歯の動揺、噛み合わせの違和感、生活習慣(喫煙・食生活・ブラッシング習慣)などを確認します。
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視診では、歯肉の色(健康なピンク色か、赤みや紫色があるか)、腫れ、退縮(歯が長く見える)、プラークや歯石の付着などを観察します。
2. 歯周ポケット測定(プロービング)
歯と歯肉の間に存在する溝(歯周ポケット)の深さを、プローブという目盛り付きの器具で測定します。
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健康な歯肉:1〜3mm程度
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軽度歯周炎:4mm前後
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中等度歯周炎:4〜6mm
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重度歯周炎:6mm以上
測定は通常、**1本の歯に対して6か所(頬側3か所・舌側3か所)**で行い、炎症やポケットの深さを記録します。
測定時に出血(BOP:Bleeding on Probing)がある場合は、炎症が存在するサインです。
3. 動揺度(歯のぐらつき)の検査
歯をピンセットや指で軽く動かして、揺れ具合をチェックします。
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M0:動揺なし(正常)
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M1:0.2〜1mm程度の水平動揺
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M2:1〜2mm程度の水平動揺
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M3:2mm以上、または垂直方向の動揺あり(かなり進行)
4. プラーク付着状態の検査
歯垢染色液でプラークを可視化し、磨き残しの割合(PCR:Plaque Control Record)を測定します。
一般的に、PCRが15%以下であれば口腔清掃状態は良好とされます。
5. X線検査(デンタル・パノラマ・CBCT)
レントゲンで歯槽骨の吸収度を確認します。
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健康な場合:歯槽骨は歯根の先端方向に向かってほぼ垂直に存在
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歯周病が進行:歯槽骨の高さが低下し、骨の吸収像が見られます
デンタル(部分撮影)では細かい骨の状態が、パノラマ(全体撮影)では広範囲の骨吸収や全体的な歯の状態が把握できます。また歯科用CTであるCBCTでは3次元的な歯槽骨の吸収の状態を把握するのに有用です。
6. その他の検査
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咬合検査:噛み合わせの異常や早期接触をチェック
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唾液検査:唾液の分泌量や細菌数を調べ、リスク評価
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細菌検査:歯周病原菌(P.g.菌など)の有無や種類を確認
検査の流れ(例)
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初診時
問診 → 視診 → 歯周ポケット測定 → 動揺度測定 → X線撮影 -
データ記録
各歯のポケット深さ、出血部位、動揺度、プラーク付着率を歯周組織検査表に記録 -
診断
軽度・中等度・重度の判定と治療方針の決定 -
治療後の再評価
数週間〜数か月後に再度測定し、改善度を評価
歯周病検査の重要性
歯周病は初期段階では痛みがほとんどなく、進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯を失うことになります。
定期的な検査により、早期発見・早期治療が可能になり、歯を長持ちさせられます。特に喫煙者、糖尿病患者、ストレスが多い方はリスクが高いため、年2〜4回程度の検査がおすすめです。
まとめ
歯周病検査は、
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歯周ポケット測定
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動揺度検査
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プラーク染色
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エックス線検査
など複数の方法を組み合わせて行い、進行度や治療効果を評価します。
**予防のカギは「定期検査」と「セルフケアの徹底」**です。
毎日の正しいブラッシングと、歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせることで、歯周病はかなり予防できます。
監修者情報

こばやし歯科医院
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