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オーダーメイドの予防方法について

当院ではオーダーメイドの予防方法 メディカルトリートメントモデル(MTM:Medical Treatment Model)を実施しています。

メディカルトリートメントモデル(MTM)とは、むし歯や歯周病などの口腔疾患を「削って治す」という対症療法中心の考え方から脱却し、原因を科学的に評価し、予防と再発防止までを含めて管理する医療モデルです。アメリカの予防歯科の概念を基盤に体系化され、日本でも予防中心型歯科医療の柱として広がっています。

従来の歯科治療では、痛みや腫れといった症状が出てから来院し、悪くなった部分を処置することが主流でした。しかし、むし歯や歯周病は生活習慣や細菌、唾液の性質など複数の要因が絡み合って発症する「生活習慣病」に近い側面を持っています。MTMは、これらのリスク因子を特定・評価し、個々の患者に合わせた予防プログラムを構築することを目的としています。


MTMの基本的な流れ

MTMは大きく以下のプロセスで進行します。

1.精密検査とリスク評価

まず、詳細な検査を行います。
・口腔内写真
・レントゲン検査
・歯周組織検査
・唾液検査(細菌数、緩衝能、分泌量など)
・生活習慣や食習慣の聞き取り

これらの情報を総合的に分析し、患者ごとの「リスク」を数値化・可視化します。例えば、むし歯菌の量が多い、間食回数が多い、唾液量が少ないといった要素は高リスク要因になります。

ここで重要なのは、「今ある病変」だけでなく「将来発症する可能性」まで評価する点です。


2.初期治療(原因療法)

検査結果をもとに、まずは病気の原因を減らす治療を行います。

・プラークコントロールの徹底
・歯石除去(スケーリング)
・ブラッシング指導
・食生活指導
・フッ化物応用

例えばむし歯であれば、ただ削るのではなく、細菌環境を整えることを優先します。歯周病であれば、炎症の原因であるプラークと歯石を除去し、患者自身がコントロールできる状態を作ります。


3.再評価

一定期間後に再検査を行い、リスクがどの程度改善したかを確認します。
この再評価がMTMの大きな特徴です。

改善が見られない場合は、生活習慣の再指導や追加治療を行い、安定した状態になるまで原因療法を継続します。


4.修復治療

リスクが安定してから、必要に応じて詰め物や被せ物などの修復治療を行います。

従来型医療との大きな違いは、「いきなり削らない」という点です。細菌環境が整っていない状態で修復をしても、再発リスクが高いため、まずは口腔内の環境改善を優先します。


5.メインテナンス(予防管理)

治療後は定期的なメインテナンスに移行します。
リスクレベルに応じて1〜6か月ごとに管理を行います。

・プロフェッショナルクリーニング
・歯周ポケット検査
・生活習慣の確認
・早期病変のチェック

ここでは「再発させない」ことが最大の目的です。


MTMの特徴

① リスクベース医療

すべての患者に同じ治療を行うのではなく、リスクに応じて治療計画を立てます。
低リスクの人には過剰な治療をせず、高リスクの人には重点的な管理を行います。

② 科学的根拠に基づく

唾液検査や細菌検査など、客観的データに基づいて判断します。経験や勘だけに頼らない点が特徴です。

③ 患者参加型医療

MTMでは、患者自身が予防の主体となります。
歯科医院だけで完結する治療ではなく、日常生活の改善が不可欠です。


従来型歯科医療との違い

従来型 MTM
痛くなってから治療 発症前から管理
症状中心 原因中心
治療後は終了 生涯管理

MTMは「治療完了=ゴール」ではなく、「健康維持=ゴール」と考えます。


MTMのメリット

・むし歯や歯周病の再発率低下
・治療回数の減少
・長期的な医療費削減
・歯の保存率向上

特に歯周病は全身疾患とも関連が深く、糖尿病や心疾患との関係も報告されています。予防管理は口腔だけでなく、全身の健康維持にもつながります。


課題と注意点

一方で、MTMには時間と継続が必要です。
初期検査や説明に時間を要するため、即時治療を希望する患者には理解が得られにくい場合があります。

また、保険制度との兼ね合いで、すべての検査が十分に行えないケースもあります。

しかし長期的視点で見ると、最も合理的で科学的な医療モデルと言えます。


まとめ

メディカルトリートメントモデルは、

「削る歯科医療」から
「守る歯科医療」へ

というパラダイムシフトを象徴する概念です。

病気を治すのではなく、病気を作らない。
一時的な改善ではなく、生涯にわたる健康維持を目指す。

これがMTMの本質です。

これからの歯科医療は、治療中心から予防管理中心へと確実に移行しています。MTMはその中心に位置する考え方であり、患者と歯科医院が二人三脚で口腔の健康を守るための最も理論的なシステムと言えるでしょう。

 

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監修者情報

こばやし歯科医院
〒185-0012
東京都国分寺市本町2-9-21
Tel:042-400-2004

院長 小林 達也

経歴 日本歯科大学新潟生命歯学部 卒業

日本歯科大学新潟生命歯学部 臨床研修

医療法人社団幸誠会たぼ歯科医院 勤務

国家公務員共済組合連合会立川病院 歯科口腔外科 非常勤勤務

こばやし歯科医院 開院
資格 日本歯周病学会 専門医
臨床研修指導医

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